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Kleine scheidegg~Wengernalp

書き忘れていましたが、Domから下りてきた翌日、高気圧が張り出してきたため、スイスのもう一つの有名な山岳地域のBerner Oberlandに行ってきました。

8月16日
ルート
Kleine scheidegg station~Wengernalp station

メンバー:gaku

Domから下りてきた翌日は予備日にしていたため田舎の街の観光に行く予定でしたが、高気圧がすっぽりとスイス全体を覆っていたため、鉄道を途中で乗り換えて、EigerなどがあるBerner Oberlandにこのような気圧配置の時の天気の様子のチェックを兼ね、初めて行ってみました。

この地方のメインの村、Grindelwaldに鉄道が着く前から大きく見えたのが、有名なEigerの北壁でした。
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モンベルのお店もあり、寄ってみたら埼玉県からテント泊でEigerを登りに来た方と出会い、お互い話が弾みました。
彼が登れたことを願っています。
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村のはずれ、Eigerの東側に聳えるWetterhon。
Grindelwaldの地元の人と話したところ、Eigerよりもこの山を愛している人が地元では多いそうです。
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鉄道に乗ってKleine scheideggの駅を目指す途中、大きくEigerの北壁を見ることが出来ました。
今後ノーマルルートで行くことはあるかもしれませんが、北壁を登ることは絶対に無いと思います。
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Kleine scheideggの駅を降りるとすぐにBerner Oberlandの有名な3つの山が広がっています。
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Mönch(左)とJungfrau(右)。
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Eiger(左)とMönch(右)。
高気圧に覆われていたため、予想した通り天気は良くて風も無く、絶好の登頂日和だったと思います。
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Kleine scheideggは「小さな峠」という意味で、立山の室堂のようなところです。
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ハイキング道を下って隣の駅のWengernalpまで歩いてみました。振り返って2山。
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個人的にはJungfrauの山容が格好が良いと思いました。
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さすがに前日の疲れが残っていたので、あとは鉄道に乗って滝で有名なLauterbrunnenの街にも行きました。
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街の中に大きな滝があるのですが、日本のように色々な安全対策などはされずに、流れるままにされています。
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初めて訪れたBerner Oberlandは、ZermattのあるWallis州と比べると観光地の感が強いので、本格的に山に登る人にはやはりZermattかChamonixのほうがおすすめだと思います。



翌朝、宿の奥さんに「来年も来るんでしょう?」と言われながら別れを告げ、
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Matterhornや
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DomとTäschhorn、
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Zermattの街に別れを告げ、日本に帰りました。
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Melchsee-Frutt~Klein Titlis~Engelberg(Switzerland)

今年のスイスはまず、友達と一緒のハイキングから始まりました。

8月11日(日)
ルート
Melchsee-Frutt~Tannensee~Engstlensee~Jochpass~Trubsee~Klein Titlis~Trubsee~Engelberg

メンバー:
gaku、他7人

去年スイスに行った際に会わなかったため、今年はぜひ会ってハイキングを楽しもうとスイス人の友達二人と計画を事前にしていました。

しかし実は今回、経由地のドバイで荷物のtransitが上手くいかず、荷物一式が一日遅れで着くことになってしまいました。

初めての経験だったためあれこれ対応したのち、WiFiのあるジュネーブ空港から友達に「荷物が一日遅れになってしまったから、翌日のハイキングは残念だけど予定を変更して、観光にしよう。詳しくはLuzernのホテルについてWiFiがあるところになったらまた連絡するよ」と送って向かったのですが、Luzernの駅に着くとなぜか僕に向かって手を振っている人がいました。

驚いたことに友人二人が、1時間以上も駅で待ってくれていたのです。しかもハイキングの装備まで用意してくれていました。

「たぶん、この時間くらいの電車で来ると思って二人で待っていたんだ。さあ、これで明日はみんなでエンジョイしようね。」と話してくれた二人は、実は3年前にBreithornという、スイスの最も簡単な4000mに登った際の同じパーティで、翌日Matterhornの取り付きまで行く際に偶然にも同じゴンドラで出会って以来、お互いの山写真を交換してきたくらいの間柄でしかないのですが、ここまで人を大切にするその考え方に本当に感動しました。
(写真は翌日のハイキング出発前の駅の様子です。)
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その後で3人でパンを食べたLuzernの湖畔の風景を、僕は一生忘れないと思います。



翌日、集合時間の8:00に駅に行ってみると友人2人の他に5人のハイカーが待っていました。
日程とルートを決めて募集すると、それに行きたいハイカーが当日集まるというappがあるそうです。
ローカル線に乗っていきます。
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このローカル線沿いには有名なPilatusという山があるのですが、今回はそれよりも高いTitlis方面のハイキングです。
Sarnenという駅で下車し、バスに乗り換えついたところがStöckalpというところで、ここからロープウェイに乗ります。
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ロープウェイに乗ると、立山の室堂のようなところに着きました。
立山との違いは、牛がたくさんいるところです。
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ハイキングがスタートしました。
これがMelchsee(see=ゼー=湖)でMelchは牛乳なのですが、なぜそんな名前なのかはわからないと友達が言っていました。
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先のほうに見える雪山が目的地のTitlisです。
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クライミングを楽しんでいる人たちもいました。
スイスやフランスでは、日本よりもクライミングはより身近な趣味だという印象を受けます。
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他の皆さんの歩くスピードが早く、自分のいつものペースでは置いていかれてしまうので、速足ペースを心掛けました。
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友達が「これがAlpen roseだよ。」と教えてくれました。
7月が見ごろだそうです。
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釣りをしている人もいました。
泳いでいる人もいたり、皆、思い思いにリラックスして楽しんでいます。
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ルートはほぼ水平移動で、先に見える山のようなところを400mほど登るだけでした。
余談ですが、スイスのハイキングルートで方向板に「赤白」の矢印がついているとこんな感じの日本の山道と同じ感じなのですが、何もついていないルートはブルドーザーで作ったような、味気ない道になります。
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ランチタイム。
皆さんタッパーに入れた生野菜とかを持ってきていました。
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その後Jochpassというところまで登った後、Trubseeという湖までロープウェイを使って下りてきました。
後ろに見えるのはJochstockとGrausstockという、全く日本でもスイスでも有名ではない山ですが、ものすごい山容です。
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そのTrubseeからKleine Titlisまでもロープウェイで行きます。
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Kleine Titlisは観光地で、このような風景を見にたくさんの観光の人が来ています。
特にインドからの方々が多く、雪を楽しんでいました。
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今日歩いてきたルートの全容が見えます。
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手前の眼鏡をかけているのがEstherさん、サングラスをかけているのがHeidiさんで、僕の友達です。その間にいる女性はEstherさんとHeidiさんのLuzernの友達、右の男性はZugという街で働いているドイツ出身の目医者さんだということでした。
良い人たちに囲まれた、良い一日です。
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Kleine TitlisからはロープウェイでTrubseeを経由して、Engelbergまで下ります。
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このEngelbergはそれほど日本では有名なところではありませんが、スイス中央部の中ではハイキングにとても良いところだということでした。
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僕はヨーロッパアルプスというと、どうしても4000m以上の山に注目が行きがちだったのですが、今回それ以外にもたくさんのバリエーションに富んだ山々があることに気づくことが出来、改めてヨーロッパアルプスの奥の深さを実感しました。

Dom (Swizterland)

昨年、ひどい体調不良で2日目わずか1時間ほどの歩行でギブアップしたスイスのDomを、今年は昨年経験したことを元に修正し、再チャレンジ、今年は無事登ることが出来ました。

8月14・15日(水・木)
ルート
8月14日
Randa station~the Charles Kuonen Suspension Bridge~Dom hutte

8月15日
Dom hutte~Festigletscher~Festijoch~Hohberggletscher~top~Hohberggletscher~Festijoch~Festigletscher~Dom hutte~the Charles Kuonen Suspension Bridge~Randa station

メンバー:gaku(Dom hutte~top~Dom hutteはガイド同行)


今回はあまり日本の人には登られていないこの山と、今後世田谷山友会の人が日本の会社で現実的な9日間(土・日+5日間+土・日)という短い休みの中でヨーロッパアルプスの大きなところに登る際のお役に立てるように、少し詳しく書いてみようと思います。



昨年、今回と目指したDom、正式名Dom de Mischabel(ミシャベル連峰のドム)は4545mとヨーロッパアルプス標高3位の山で、かつロープウェイなどが通っていないため、麓のRandaの駅から連峰山頂まで3100m以上を登るという、これもヨーロッパアルプスのノーマルルートでは1,2の標高差のある山です。

一昨年Mont-brancを登った後、同じくらいのグレードでより体力が必要な山を探したところ、この山を見つけました。
クライミンググレードはPD(少し難しい)で、テクニカルな要素はⅡ、Ⅲ級のレベルです。

Mischabel chain(ミシャベル連峰)はZermattがあるMattertal(マッター谷)とSaas-FeeがあるSaastal(ザース谷)の間に聳える4000~4500mの山々で、Dom(写真右手の尖っていないほうの山)はその最高峰になります。(これは昨年撮った写真です。)

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この山については、参考にする資料が少なかったため、以下のサイトを元に行ってみました。
https://www.summitpost.org/dom/150275
(このサイトは、ヨーロッパアルプスのほぼ全ての山のルートの詳細が出ています。)

https://www.zermatt.ch/jp/Media/Planning-hikes-tours/Domhuette
https://www.zermatt.ch/jp/Media/Planning-hikes-tours/Dom-Ascent
(ここから地図をダウンロード出来ます。)

https://www.youtube.com/watch?v=ImChgR3bbQA
(個人でやっている現地ガイドの動画シリーズです。)


今年はMont-brancを一緒に登ったフランスの人がフランスの鋭鋒、Aiguille Verte(ヴェルト針峰)のクラシックなルートを登り、またその時のガイドさんはヨーロッパ三大北壁の一つ、Grandes Jorassesの北壁を登っていたため、僕も今年こそは大きなところを登りたいと思っていました。

今回は8月10日(土)現地着、8月11日(日)にはスイス中部のLuzernの友達たちと13km程度のハイキングを行い、8月12日(月)に今回の山登りの山小屋、Dom hutteでガイドと会う二日前までにZermattのガイド組合で現在の山のコンディションの確認と残りのガイド料の支払いがあるため、Luzernの観光を終えてからZermattに夕方に着きました。

昨年は同じように土曜日現地着で日曜日に高度順応、月曜日に登山開始で時差ぼけのため睡眠不足がひどく、食欲まで無くなくなり下痢も引き起こしたため、今回は金曜日を予備日として水曜日・木曜日での登山に予定を変更してトライしてみました。
そして考えていた通り、今回も土・日・月くらいまでは時差ぼけがひどかったです。

ガイド組合には昨年と同じガイドさんと登れるようにお願いしていたのですが、当日行くとお願いの通りにガイドさんに依頼をしてもらっていました。
天気予報は晴れですが、天気図の予報を見ると高気圧の張り出しが鈍くまた等圧線の間隔が狭いため、35km/hほどの風の予報が出ていましたが、去年の雪の予報よりはましだったため、予定を変更せず登ることを決めました。

ちなみにZermattでもChamonixでもいくつかガイド組合がありますが、個人的には昔からやっている地元の組合が一番おすすめだと思います。ここがその組合のオフィスです。

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8月13日(火)
この日は高度順応に行きます。本当であれば高度順応の後、一日休息してから目的の山に登るべきなのですが、日程がタイトなため、目的の山の前日になっています。

Zermattには観光のため、標高1500mのZermattからロープウェイで3883mのMatterhorn glacier paradiseまで行くことが出来、ここから行く山で高度順応をしている人が多いです。

Matterhorn glacier paradiseには展望台や氷河内の洞窟、レストランもありますが、そこを出ると雪山が広がっています。
手前のなだらかな山がBreithorn(4164m)、その稜線の岩になっているところがMatterhornへのテストに使われるBreithorn half traverse、次の岩山がPollux(4092m)、さらにその次の岩山がCastol(4228m)です。
ここまでの山を登って高度順応を行う人が多いです。
ちょうどBreithornは昨日の24時間テレビで土屋太鳳さんがトライしていましたね。

なお、奥の大きな雪山はものすごいナイフリッジと雪庇で有名なLiskamm(4527m)で、ここにも自分が今回目指したDom同様、あまり日本人は行っていないようです。

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今回僕は翌日が登山日だったため登っての高度順応はせずに、スキー場になっている部分を歩いたり、休んだり、昼寝をしたりして行いました。
左に見えているのがMatterhornの南壁、また奥に見えているのは左からDent Blanche、Ober Gabelhorn、Zinalrothorn、Weisshornと、いずれもMatterhonよりもグレードの高い山々です。

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ここで6時間ほど滞在し、高度順応を行いました。


8月14日(水)
いよいよ登山の日です。ルートはRanda駅からDom hutteまでの標高1500mで、テクニカルグレードとしては日本の穂高の大キレットと同じくらいです。

今回は「いつもの日本の山と同じような気持ちで登ろう」と決めてきていたので、僕は一日目は甲斐駒ヶ岳の黒戸尾根の七条小屋まで、二日目はそこから冬の美濃戸口から赤岳までの往復というイメージを地形図と距離、標高差から持って行ってみました。

また、僕はどうも二段ベッドの上の段だと眠りづらいため、下の段をガイド組合に予約してもらいたいと伝えていたのですが、山小屋に行ってから話してほしいということだったため、いつもの日本の山のように朝6時に出発しました。
ヨーロッパの山小屋のリズムとしては、だいたい夕方6時から夕食がスタートするので、4時くらいまでに山小屋についていればよいような雰囲気です。

朝のZermatt駅前からDomがクリアに見えていて、天気は良さそうです。
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Randa駅からDom hutteまでの詳細は、昨年8月に作ったブログと変わっていないため、そちらを見ていただきたいと思います。
ただ、今回は昨年と違い天気がとても良かったため、数点載せておきます。

また、今年は途中まで霧がかかっていたのですが、これが助かりました。
このエリアの山はお日様が出るととても乾燥していてまた日差しも強いため、日本の山と比べて僕はのどがとても乾くのです。
そのため今回はスムースにDom hutteまで登ることが出来ました。

the Charles Kuonen Suspension Bridgeという世界最長のつり橋があるのですが、霧のため先が見えませんでした。
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霧の上に出ると、ヨーロッパアルプスで最も美しく、そして難しく、タフな山の一つ、Weisshornがきれいに見えました。
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岩場の始まりのところで、大きなIbex(ヤギの一種)に出会うことが出来ました。一瞥されただけで、こちらには全く興味がないようでした。
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このような岩場が2時間ほど続きます。去年初めての時は情報がなかったため緊張しながら登りましたが、一度登ったため安心して登れました。
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小屋には4時間50分で到着しました。日本と同じいつものゆっくりしたペースで6時間かけようと思っていたので、ずいぶん早く着いたなあという印象です。左上には去年は見えなかったDomが見えていました。
もっともコースタイムは4時間30分なのですが、スイスのハイキングルートの看板に書いてあるタイムは足の長さが違うせいか、あまり参考にしないほうが良いと思います。
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さっそく受付をすますと、ラッキーなことにベットの下段が用意されていました。
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僕のガイドのAngeloさんはこの日もガイドでDomに登っているということだったので、昼ご飯を食べながら待つことにしました。
これはRostiというスイスの伝統料理でジャガイモを千切りにして格子状に組み合わせて焼いたもので、特にこの山小屋のものはボリュームがあっておいしいです。
あと、これは今回感じたことなのですが、和食に比べスイスの料理は塩分が少ないように思うので、塩も多めに摂るように心がけました。
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やがてAngeloさんが戻ってきました。初めは僕のことがよくわからないようでしたが、途中で「ああ、思い出したよ。去年病気になっていた人だね。今年は登ろうよ。ゆっくりで大丈夫だよ。」と言ってくれて、夕食で色々と話そうということになりました。

このDom hutteはここまでの登りもあり、またDom自体が長い山のためか、MatterhornやMont-brancの山小屋とは違い半ば観光のような人はまったくおらず、本当に山が好きな人だけが集まってきていて、その雰囲気がとても良いです。
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夕食は6時20分からで、翌朝は2時頃起きることがわかっていたため、夕食までの4時間ほど寝ようと計画していました。
が、時差ぼけのせいなのか、いつもあまり眠れません。

しばらくすると同じ部屋に2人の五十代位の女性二人が入ってきて挨拶をしていると、もう一人その人たちのいかにもガイドさんという全身mammutを着た人も入ってきたので挨拶をしました。
女性のうち、一人はReginaさんでドイツから毎年夏にこのあたりの山に登りに来ているとのこと。もう一人はドイツ人ですが数年前からZermattに住んでいるDianaさんで、僕が泊まっているホテルの奥さんとも知り合いということで、すぐに仲良くなりました。またガイドさんはHelmutさんでDianaさんから「この人がZermattでベストなガイドなのよ」と紹介されました。確かにかなり力強い印象の人でした。

夕食は僕とガイドのAngeloさん、そしてReginaさんとDainaさんとガイドのHelmutさんで同じテーブルだったため、すぐに仲良くなりました。特にHelmutさんは陽気な人で、何故か僕を数回、Zermattで見たことがあるらしく、「君は毎年Zermattに来ていないか?通りとかで見たことがあると思うよ。」とか、仕事がCoopであることを話すと「東京にもCoopがあるのか!驚いたよ。」(スイスはCoopが一番大きいスーパーのため)とか、いろんな話をして楽しい食事になり、この人たちと一緒なら、明日は登れるんじゃないかなぁという気になってきました。

実は日本に帰ってきてからこのHelmutさんのことを調べたら、Matterhornに既に200回以上も登り、このエリアだけでなくヒマラヤでも実績を残し、さらにエベレスト近辺のレスキューのレベルがまだ低いため、その講習にも行っているというとてつもない山の人でした。

翌日は2時15分起床、2時半から朝食、3時に出発ということで別れ、寝ました。
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8月15日(木)
やはり良く眠れず、おそらく2時間くらいしか寝れなかったように思いますが、起きてみると不思議なくらいリラックスしていました。
朝食もリラックスしながらたくさん食べましたが、ここで一つ問題がありました。

登山に持っていくお湯を入れようと思っていたのですが、山小屋の人が起きていないため限りがあったため他のクライマーのグループのテーブルに置かれていた大きなポットからお湯をもらっていました。
「僕たちの朝食のお茶のお湯が無くなってしまうよ。」という言われて気づき、自分のテーブルに残っていた小分けのポットからお湯を渡して大丈夫だったのですが、お湯を入れるなら前日夜までに山小屋からもらっておきましょう。

(ここからは夜中のため画像がないので、帰りの画像を見てルートを確認してみて下さい。)
3時にガイドとアンザイレンで出発し、まずはモレーンと言う氷河が削った岩屑の上を1時間ほど歩きます。これは日本のガレ場と同じような感触です。
またMont-brancの時のガイドさんと同じように今回のAngeloさんも「スローで、疲れずに、どこまでも登り、どこまでも歩く」というスタイルだったため、だいたい1時間に250m登りのペースで進んでいきます。

4時にFestigletscher(フェスティ氷河)の取り付きでアイゼンを付け、氷河を登っていきます。
去年はこの取り付きで引き返しましたが当日はリラックスしていたため、よほど去年は体調が悪かったんだなぁと感じました。

この日は満月に近かったため、夜明け前でした氷河の様子やこれから登るDomの輪郭が見えました。
またヘッドランプが照らす氷河がキラキラと光り、きれいだなあと思っているとところどころにものすごいクレバスの口が開いており、そこを渡ったりジャンプしたりしながら登っていきます。

5時20分ごろにFestigratへの取り付きに着きました。ここでⅡ、Ⅲ級の岩登りが60mほどあります。
2回、ビレイをしてもらい登りましたが、Mont-brancの時の岩稜は氷と雪と岩のミックスが800mほどあったので、それに比べるとだいぶ楽でした。

5時49分にFestijoch(3723m)に到着し、休憩。
ここから上級者の人達は山頂まで続くFestigrat(フェスティ稜)を登っていきますが、みなアイススクリューとPetzlのQuarkを持っており、難度の違いが判ります。
ちなみにgratはドイツ語で「岩稜」のことで、日本だと奥穂高岳にSeitengarat(ザイテングラート=側稜)に名残がありますね。

ノーマルルートはここから北側に100mほど下り、また少し登り返してHohberggletscher(ホーベルグ氷河?)というもう一つの氷河に下ります。

このHohberggletscherを登っていくと、Domの頂稜部の全体が見えてきました。
ものすごい大きさのセラック(氷塔)が発達しているのがわかりますが、何故か気持ちはとてもリラックスしており、楽しんで登っていました。体調も万全です。
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稜線の左の岩のとげとげしたところがFestijochで、そこから雪面を降りてHohberggletscherに来ています。
雪質はとても良く、がっちりとアイゼンが効きました。
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セラックを横目に見ながら東に回り込むように大きく迂回したところがDomの取り付きで、いきなり急登が始まります。
イメージ的にはここから赤岳の文三郎道が始まるような感じを持っていたのですが、4000m近い高度のせいかそれよりもはるかに長く感じました。

二回目の休憩は7時27分で本当にイメージしていたようにちょうど文三郎道の途中のようなところでした。
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東を見るとLenzspitz方面から朝日が登ってきました。
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Lenzspitzから続く稜線にあるNadelhorn(右)(4327m)と、Stecknadelhorn(左)(4241m)の素晴らしい角度の山容のMischabel chainと登ってきたHohberggletscher。
余談ですが、このMischabel chainの稜線はほとんど日本人は行っていないようですが、Eigerのノーマルルートよりも難度が高めです。
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さらにそこから1時間20分ほど登り、おそらく最後の登りで残り30分くらいだろうという前で少し靴擦れ気味に足が痛くなってきたため、もう一休みさせて欲しいと頼んだところ、Angeloさんは「OK。休もう」ということになりました。
山頂のように見えるところは山頂ではなくそこからさらに20分ほど、かなりの急登が続きました。

おまけにこの急登のところだけ、何故か風が非常に強く、足も2日でこれまで登ったことのない高度まで来ていたため、「これ以上この登りが続いたら足がどうなるんだろう?」と思い、本当に必要最小限の力だけで登るよう心掛けました。
(写真は下りに撮りました)
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Festigratを登って山頂から降りてきた(ちょうど朝食でお湯の件で指摘してくれた)クライマーのパーティがすれ違い際に「Almost end!(もう少しだ!)」と言ってくれましたが、その後も急登はしばらく続き、また下を見ると気持ちが悪いくらいの高度差の空間が広がっていたため、とにかく一歩ずつ、必要最小限の力で登ることに集中しました。

すると突然ぽかんと小広いところにたどり着き、前には動画などで見ていた十字架とそれに続くナイフリッジが見えました。
Angeloさんに「Is here top?(ここが山頂?)」と聞くと「Yes, Goood!」という答えが。
がっちりと握手を交わしました。
9時19分、山頂にたどり着きました。
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気づいたらMatterhornは既に眼下にあり、その他の憧れの山々も自分よりも低い位置にありました。
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あのWeisshornさえもほぼ同じ高さに。ここよりも高い山は、奥に見えているMont-brancと、Monte Rosaしかないのです。
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今回はMont-brancの時のように心拍が上昇して足に力が入りにくくなり、「全力を尽くして」登ったのとは異なり、全体的にリラックスして登れました。
後ろに見えるのが、Monte Rosaです。
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山頂にはこの後、風が強くなる予報だったため3分ほどしかいませんでした。帰りの長さを考えると、妥当だと思います。
まず先程登ってきた急登を慎重に下ったのち、徐々に高度を落としていきますが、あまりペースが上がりません。
これは何か食べるべきだなぁなどと考えていました。

下りは少しずつ写真を撮らせてもらいました。
LenzspitzeとSaas-Fee方面
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下り方面(下っていくクライマーのパーティと、登ってくるReginaさんとHelmutさんが右下に小さく見えます。)
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巨大なクレバスが所々に開いています。
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登りの2回目の休憩場所と同じところで休憩し、日本の山登りと同じように昼ごはんに持ってきていた菓子パンを食べたら、足が回復しました。その後は日本の山と同じくらいのペースで下ります。

下り途中に横からみるセラック。50mくらいの高さがあります。
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クレバスのそばまで寄ってのぞいてみましたが、底が全く見えませんでした。
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Domの頂稜部を東の下部から。
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同じく西の下部から。大きな山です。
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Hohberggletscherから100mほど登り返して、Festijochへ戻ってきました。
クライマーの人達に追いつきました。
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朝は暗くて全貌がわからなかった60mほどのFestigratの取り付きの岩場です。
帰りは二回の懸垂下降であっという間に下りました。
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山頂へと続くFestigrat。
お昼になり気温が上がってきて雪が溶けてきたせいか、クライマーの人達と話をしている間、上から落石がバウンドしてきます。
中には大きなものもありました。
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後はこのFestigletscherを下って帰るだけですが、じつはこのFestigletscherが標高が低いためかクレバスの周りの雪が緩んでいて、何度かクレバスをジャンプで飛び越える必要がありました。
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朝、アイゼンを付けたFestigletscherへの取り付き。
後はガレ場を下って、
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Dom hutteに帰ってきました。13時50分でした。
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ガイドのAngeloさんと一緒に写真も撮ってもらいました。
山の力や技術はもちろん、なにより人間として本当に素晴らしい方です。
去年体調が悪い僕を見て「大丈夫、大丈夫。」と言ってくれていた通り、この日も「大丈夫だよ。」と励ましてくれ、おかげで本当に良い山登りが出来ました。
Saas-Feeのガイド組合に所属していますが、ご出身はイタリア語圏のスイスだということでした。
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クライマーのグループの人達とも握手。朝のお湯のマナー知らずの非礼をお詫びすると、「こんな素晴らしい日にお互い頂上まで行ったんだ。そんなこと、全く問題ないよ。時間があったら乾杯しよう!」と言われました。

その後Angeloさんと登頂の乾杯と昼食を食べてReginaさんとHelmutさんを待ちました。
色々話している中で「来年ももしよかったら一緒に他の山に登ってもらえますか?」と聞くと「もちろんだよ。Matterhornは登りたくないのかい?今日の体力とクライミングを見ていれば、全く問題ないよ。」と言われたので、「まだクライミングに自信がないので来年までに、もっと成長してきます。」と伝えると、Angeloさんは笑っていました。
他にもDent Blancheも行けるよ、などいくつかの山を教えてくれました。

Angeloさんはその後山を下りるよと言って、準備を始めたため、再び握手と来年の再会を約束して、お別れしました。

そのうちにReginaさんとHelmutさんが下りてきたので話を聞くと、山頂には登ってこれたが、下りで足が痛くなって休み休み下りてきたという話でした。
二人はここでもう一泊して下りるという話でしたが、まだ時間もあったため、僕は山を下りることにしました。

お二人ともがっちり握手して来年の再開を約束し、特にHelmutさんからは「来年も来るんだろう?また会おうな!」と言われ、日本から遠く離れたZermattに知っている人が少しずつ増えていくことがとても嬉しかったです。

16:00に出発し、行きと同じルートをさらに1500m下り、Randa駅には18:45分に着きました。
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今回の山登りは天候にも、また特にたくさんの素晴らしい人たちとの出会いに恵まれ、思っていた以上にリラックスして登ることが出来ました。

また昨年の経験から「こう登ったほうが良いのではないか。こう準備をしたほうが良いのではないか。」とあれこれと考えてまとめていたことをほぼ実証することが出来て、そういった面でもとても充実した山登りになりました。



それにしても、あの白く気高く聳える山々は、これまでどれほどの逞しく、素晴らしい人たちを育んできたのでしょうか。
そしてそれは、あの山々がこの地にある限り、これから先どんなに人間が進歩しても、変わらないのだと思います。
言葉で表すのは難しいのですが、願わくば僕も彼らのように、生きていきたいと思います。

Saas-Fee

Domから下りてきた翌日、幾分か体調も良くなったので、前からスイスの友達がおすすめしていたSaas-Feeの村に行ってみました。

8月15日(水)Saas-Fee~Spielboden~Langfluh(往復)

メンバー:gaku

Zermattのある谷からDomやTaschhornなどのMitscabelの山々を越えた東隣りの谷にあるSaas-Feeの村は、Valais州でZermattと並ぶスキーリゾート/山岳拠点です。
日本ではMilletが出しているザックの名前にもなっています。

山を貫くトンネルがないので、いったん鉄道で北上してStalden-Saasの駅から田舎のバスに乗っていきます。

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日本と同じような山道を50分ほど走ると、Saas-Feeのバスステーションに着きます。
いきなりZermatt以上に雄大な風景が広がっていて驚きました。

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Saas-FeeはZermattに比べて、リゾートながら友達から聞いていたようにとても静かで良い雰囲気です。
またZermattもここも一番のハイシーズンは冬なので、夏はホテルなども少し安いです。また夏でもスキーを楽しめます。

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ハイキングはまだおなかが緩かったので、トイレがルート上にいくつかあるLangfluh(左上の黒い山岳ホテル)までのルートを選びました。
Saas-Feeが1800m、Langfluhが2870mなので、1000mくらいの登りです。

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少し登ると、前日に断念したDom(右)とTaschhorn(左)の巨大な東側の岩壁が見えてきました。
(僕が目指したのはもっと簡単な北側の稜線のノーマルルートです。)
天気は一週間予報の通り、快晴です。本当に向こうの天気予報はよく当たります。

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Langfluhに着くとFeegletscher(フェー氷河)の中に突き出した半島みたいな場所になっているため、すぐに氷河が横たわっています。
前方に見える台形の山、Alphubel(4206m)まではここから氷河を超えて登り5時間でグレードはF+(易しい)です。左上にトレースも見えますね。

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最も簡単な4000mの山の一つとしてこちらも有名なAllalinhorn(4026m)もきれいに見えました。
手前はクレバスがすごいです。

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DomとTaschhornの岩壁は日本ではここまでの高低差のところがないため、山頂までの距離は近くに感じるのですが高さは物凄くあるという、初めての不思議な感覚を感じました。

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Langfluhまでの道はこんな感じなので、奥多摩と同じくらいのレベルです。
ただ、日本では見たことがない緑色の岩がたくさんあり、これがとてもよく滑るので要注意でした。

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またこのルートを選んだもう一つの目的、marmotにも会うことが出来ました。
このSpielboden付近の斜面にたくさん住んでいると聞いていたので、根気強く探していたら子供がにんじんをmarmotにあげていました。

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marmotの家の入口です。こんな穴が斜面にたくさん空いています。

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SpielbodenからSaas-Feeに下る途中にはGletschergrotte(氷河の洞窟)という名前の雰囲気の良いレストランもありました。

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Saas-Feeの村はこじんまりとしていて、静かなのでZermattよりもゆったり出来そうです。

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今回お世話になったガイドさんのオフィスもありました。
あまり日本では使っている人を見ないSalewaがサポートをしているようで、ガイドさんのジャケットもSalewaでした。

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後は19:00前のバスに乗って帰りました。
Saas-Feeは聞いていた通り、ゆったりとした時間が流れている良いところで、Zermattほどの観光地感を求めない人にはとてもおすすめの村だと感じました。

Dom

去年登ったMont-brancの後、行ってみようと思っていたDomへ行ってきました。

8月12日(日):Breithornplateauにて高度順応
8月13日(月):Dom Hutte SACに宿泊
8月14日(火):前日からの下痢と寝不足による疲労でFestigletscherまでで敗退、昼食後下山、夕方4:30にRanda駅に到着。

メンバー:gaku

Dom(真ん中の尖っていないほうの山)は全てスイス国内にある山の中では最高峰(イタリアと接している山ではMonte Rosaが一番)、ヨーロッパの中でもMont-branc、Monte Rosaに次いで4545mと三番目に高い山です。

またヨーロッパアルプスのノーマルルートの中では最も標高差があり、麓のRanda駅から3100mを登ります。

ルートはRanda駅~Domhutte(山小屋)で一日目1500mを上がって一泊。

二日目はDomhutteからガレ場を一時間ほど上がってFestigletscher(フェスティ氷河)を一時間半ほど登ったところにあるFestijochへの二級の岩場を30mほど登ります。その後岩場を東側へ40mほどクライムダウンして、Hobarggletscherに下りて、あとは延々と歩いて1500m超を登るというルートです。

Domhutteからは登り7時間、下り4時間の往復の予定で、あとは山小屋にもう一泊するかそのまま4時間ほど歩いて駅まで下るかは余裕次第という感じです。

ルートグレードはPD+(少し難しい)で、去年のMont-brancとほぼ一緒です。

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羽田から25時間ほどかかってZermattに現地の土曜日7:00PMに到着。向こうは日の出が6:30AMくらい、日の入りが8:30PMくらいなので、まだ明るいです。

2年前と同じホテルを予約していたのですが宿の奥さんが僕を覚えてくれていて、ここはスイスのあなたの家だと思っていいのよと言われ、本当に色々と好きに使わせていただきました。

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日曜日。ホテルの前からきれいにMatterhornが見えます。

ただ天気予報を見るとDomhutteに上がる予定だった月曜日のお昼に寒冷前線が通過するため、月曜日の午後と火曜日いっぱいは高い山は40m以上の強い風と20cm以上の降雪の予報が出ていたため、ガイド組合に日取りの変更をお願いしに行きました。

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しかしガイド組合で今年はかなり予約が多く日程の変更はできないということと、簡単な1日で登れる4000m超の予約なら変更可能だということになり、まずは予定通り高度順応をしてからどちらか夕方に決めるという話になりました。

実は今年は日本と同様スイス・フランスともに観測史上最も暑い気温が続いて氷河が溶け、Mont-brancでは雪崩と落石がひどく、ノーマルルートは8月7日からガイドを中止していたり、土曜日には雪崩で二人の方が亡くなられたりしている状況でした。

高度順応へはロープウェイで標高1620mのZermattからMatterhorn glacier paradise(3883m)に向かいます。途中、Matterhornに南側から雲が付いており、この緩やかな南風が吹いているときはこのエリアは朝から昼間はだいたい天気が安定します。

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ロープウェイの駅を降りてBreithornplateauへ。この左の山は順に手前からBreithorn(4163m)、Pollux(4092m)、Castor(4228m)で、よく高度順応に使われます。特にBreithornは最も簡単な4000mと呼ばれ、僕も2年前に登りました。

見た目はすごいですが常念小屋から常念岳山頂をちょっと伸ばしたくらいのルートです。

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ただしアンザイレンは必須です。まず上の雪原も雪がかぶっていますが、ルートを外れると上のBreithornの手前に見えているようにクレバスが多くあります。

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またヨーロッパアルプスは下界の温度は高く、4000m以上は1℃未満と気温差が激しいためとにかく雲の変化が早く、上の写真の10分後は下のようにホワイトアウト、また晴れに戻る、というように目まぐるしく変わります。

僕は今回はこの雪原にある100mくらい登るスキー場の丘を5時間ほど行ったり来たりしてみて具合も良かったため、月曜日にDomhutteに向かうことにしました。

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翌朝、あまり眠れずに疲れを引きずっていました。山小屋までのルートは日本の穂高の大キレットくらいだと書いてあったので、雨に降られたくないので昼までに到着するように6:30AMにRanda駅を出発。

少し登ると谷を挟んだ向かいにヨーロッパアルプスで最も美しいといわれるWeisshorn(4505m)がきれいに見えています。既に北側に雲が付いていて、これが天候悪化のサインだと思います。

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今回の山小屋までのルートは白地に青線の「Alpine hiking trail」で、氷河上の歩行か岩稜帯があるルートで日本のノーマルルートの技術度4~5くらいのレベルです。

白地に赤線は「Mountain hiking trail」で日本の技術度3、黄色地は「Hiking trail」で、誰でも歩けます、という感じです。

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途中まではこのエリアは八ヶ岳と同じような植生のため、同じような感じがします。

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僕の持っていた地図には出ていなかったのですが、途中で世界で一番長い歩行者用の橋というのが出来ていました。去年出来たそうで、一緒に登ってきたハイカーはここがお目当てのようでした。

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だいぶ登ってきてWeisshornを始めZinalrothorn、Ober Gabelhornなどの素晴らしい景色。

僕はロープウェイなどが無いこのZermatt北西側の鋭い山々の姿が好きで、いつか行ってみたいと思います。

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あとは残り700mくらいでこんな岩稜を2つくらい登ります。ここから天気が悪くなってきたため、写真は割愛しました。
向こうの天気予報は日本と違い、かなり正確に当たります。

また水が切れたためルートの脇に出ていた沢の水を汲んで飲んだのですが、後でガイドに教えてもらったのですがこれが失敗でした。

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(写真は下りの時に撮りました)
岩稜はこんな感じを延々と登りますが、マークと鉄のステップ、ワイヤーなどがあったため、思っていたよりも楽でした。しかし他に人が誰もいないため、このルートで合っているのか少し不安になりました。

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延々と3時間近く、岩稜登りです。

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ここが一番急角度でした。

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岩稜の上部。

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急ぎ目に登った結果、ぴったり12時にFestigletscherの脇にあるDomhutteへ着きました。

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しかし山小屋についてからしばらくして、寒気がしたためひたすら着込んで休んだり寝たりして、ガイドが来る6時を待ちました。

この金・土・日でおそらく5時間ずつくらいしか寝られていなかったため、おそらく寝不足が原因です。

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しかしよく眠れず6時にガイドと合って話をしていると今度はひどくおなかが緩くなってしまいました。

ガイドに聞くとスイスではかなり上までibex(鹿の一種)などが住んでいて、また氷河の水はシルト(泥と砂の中間の岩屑)を含んでいるため、沢の水は飲んでいけない、買った水を飲まないとだめだと言われました。

ガイドはZermattのガイドではなく山を挟んだ反対のSaas-feeのガイドでAngelo氏。とても良い人で体調が悪いことを告げると明日の朝に上がるかどうかは決めていいし、何時間かかってもいいからゆっくりで行こうということでした。

スイスのガイドはスピード重視だと聞いていたので、安心したのですがやはりその夜もよく眠れませんでした。

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翌朝3時から朝食で幾分かは体調が良くなっていたので、上に上がってみることにしましたが、3時45分に準備をしてヘッドランプで出発し、ガレ場を登っていったのですが既に頭が非常に重く、わずか一時間上がったガレ場の終わり・Festigletscherの取り付き3200m付近でギブアップしてしまいました。

ガイドさんも残念そうで山小屋に帰った後、色々とアドバイスをしてくれました。

(帰ってきて7時頃の山小屋からの風景です)
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その後、昼過ぎまで天気と体調が回復するまで休み、同じ岩稜を下ってRanda駅に着いたのが4:30PM、ホテルに着いて6:00PMごろにシャワーを浴びて次に起きたのは4:00AM頃でした...やはり相当に疲れていたようです。

今回ガイドさんが教えてくれたのですが、このくらいの山に登るには1週間では短く、2週間は期間が欲しいとのことでした。初めの2~3日で時差を取り、次に高度順応で一つ簡単な4000m峰を登り、2日ほど休んでからメインの山を天気に合わせて登る。またもしその後体力があれば、もう一つ大きな山を登る人も多いとのことです。

今回の教訓としてはやはり山の基本ですが、自分の体調と山のコンディションに合わせて行動すべきでした。無理をすると何も出来なくなるということが、よく分かった二日間になりました。
世田谷山友会のプロフィール

世田谷山友会会員

Author:世田谷山友会会員
東京都下北沢を拠点に活動しています。個人の山行活動を応援し技術向上と安全で楽しい山ライフを目指しています。

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